商店街の映画上映空間
「高槻セレクトシネマ閉館」の報を知ったのは21日の夕方、ツイッターでアルバイトスタッフがつぶやいた「緊急のお知らせ」だったのだけど、今朝(22日)のツイートでは「思わぬところで混乱が生じたらしく、一旦情報を引かせていただきます」とあります。
会員制をとっていたようだし、最初の「閉館」ツイートのリツイートは50人ほどでしかないけれど、関係者から問い合わせが殺到したのかもしれないですね。ま、憶測だけど。
車いすになってからここで映画を観たことはなかったけれど、映画の上映会をやるようになってから、映画館が毎日行く商店街にあることがすごく大事なことのような気がしています。
今年の5月以降「さるくびとシネマ」を開催している京都市東山いきいき市民活動センターのすぐ近くにも古川町商店街という生活感にあふれる商店街があります。食料を扱う商店主の方々は夜まで働いているのです。そんな商店街の方々が立ち寄れるような「シネマ」に出来たらいいなあと思っているので、「さるくびとシネマ」はひとつの作品を一日三回上映してみることにしたのです。ちょっとハードだけど、二種類の映画を三回ずつ、計六回。
市民の作る上映会は、どうしても主催側の都合で時間配分が決まってしまいます。施設や、上映素材を有料で借りて運営する以上、ある程度仕方がないことで、常に忸怩たる思いを引きずりながら、「お客さんに満足してもらえる場」を模索しているというのが現状です。
実は上映回数を増やしても回数に比例してお客さんが増えることはあまりなくて、だいたいトータルすれば一回やっても二回やっても変わらないことのほうが多いのですが、迷っていたひとが上映回数が増えることで来れるようになったり、少しでもお客さんの選択肢が増えたら嬉しいと思います。
もっとも、素材の上映権を持つ側との約束もあるので、常にそんな理想の上映が出来るわけではありません。
「さるくびとシネマ」では『女と孤児と虎』を5月、7月と上映してきて、8月にも上映するのですが、これも上映権付きDVDを購入しているから可能なこと。
一回の上映に10人ほどしかお客さんが入らなくても、根気強く上映をして(笑)観てくださる方を増やしていけるのも、実はそういう素材だからです。
どこの街の映画館でも、作品によっては数えるぐらいしかお客さんが入っていないことも少なくありませんね。これはと思う作品を提案して、ひとに来てもらい、維持していくのは大変だと思います。会員制をとるのは大前提でしょうが、いくら面白い企画をしたくても欲しい作品がまわってこないという問題もあるでしょう。
わたしたちも、2008年以降、社会にインパクトを与えるすばらしい作品を探してたくさんのひとに観ていただきたい、観たあと感想交流のひとつも出来たらいいなあ…という思いを持って運営しているけれど、力を持った作品がいつでも上映できるわけではありません。